訪問診療への想い
現代は、あまり「家で身取る」ということがされていない時代です。
そのような中でも、在宅で一緒に暮らしたい、暮らそうと選ばれたご家族のために、大切な時間や家族の絆を支えるサポートを行いたい、すなわち在宅緩和支援をしたいと思ったのが居宅介護支援事業所と訪問看護ステーション設立のきっかけです。
在宅緩和といっても、さまざまなスタイルがあります。わかばクリニックで在宅緩和支援をするためにはどうしたら良いかをずっと考えていました。最終的な結論としては、在宅緩和する上では、「ご本人だけではなくて、そのご家族もちゃんと見てあげなければならない」という事です。
自分の家族を診るという事は、そのご家族の普段の健康も見てあげる必要があります。ですから、やはり地域に根差した医療が重要だと考えています。
今、癌の人もたくさんいらっしゃいますが、それ以上に認知症の人もたくさんいらっしゃいます。
もし、自分の親が夜になって大暴れしたりして、自分の仕事が出来なくなったりしたら。
仕事をし、働いてご高齢の世代を支えられる世代が、介護で働けなくなる。働ける人たちが働けなくなるというのは社会的にも結果的にマイナスが発生するわけです。
深刻な病気と言えば、癌ばかりが注目されがちですが、そうではないんです。癌の人は、そのイメージからまわりから大切にケアされ、かわいそうかわいそうともちゃんと言ってもらえます。しかし、認知症の人は訳のわからないことばっかり言うというイメージ。ですから当然理解も得られにくいですし、ケンカにもなるわけです。そして、家庭崩壊してしまうんです。これは、とても悲しいことです。
認知症の人は、家で最期をむかえたいという人もいます。そのような方、そのような方のご家族に100%協力しますからと言って寄り添えるクリニックでありたいと思っています。
社会的な問題として、認知症の問題は我々が思っている以上に大きいと最近つくづく思います。ですからそのために、私たちクリニックが助けられる場所が必要です。
これからも、地域の在宅診療に関わらせていただく中で、ご本人やご家族から発せられる声を一つ一つ心で聴き、その声に応えていけるよりよい医療を行ってまいりたいと願っております。
患者様・ご家族様へ
在宅医療とは
病院やクリニックへの通院が難しくなった時に、自宅や老人ホームなどの普段の生活の場所に医師や看護師などが訪問して、診察や治療、健康管理を行うことをいいます。病気や障害があっても、患者さんが住み慣れた場所で暮らしていけるように、専門スタッフがチームとなり支えていきます。
往診との違い
ご自宅や施設に、患者さんやご家族の求めで不定期に診察に伺うのが往診です。
訪問診療は定期的・計画的に診察に伺い、継続して医学管理を行い状態変化を確認するものです。
このようなお悩みはありませんか?
- 一人住まいの父親に認知症の症状が出てきたので病院に一人で行かせるのは心配・・・
- 母親を病院に連れて行きたいけど、仕事を休めないしどうしよう。
- 妻を病院に連れて行きたいけど、自分も年を取ってきつい。この先どうしたらいいんだろう。
- 本当は自宅で療養させてあげたい。でも病気を抱えたまま退院させても大丈夫なのかな。
- 〇月で退院するように言われたけど、病気を抱えているのに自宅に戻って大丈夫なのかな。
- そろそろお薬をもらいに行かなきゃいけないのに、足が悪くなって病院まで歩くのが辛い。
- 持病があるけど病院へ行くのが大変。近くに家族もいないし、タクシーは高いし、どうしよう。
- 一人じゃいけないから病院へ連れて行ってもらいたいけど、子供も忙しいから遠慮しちゃう。
- 子供の都合で今までみたいに定期的に病院に連れて行ってもらえない・・どうしよう。
- 本当は自宅で療養したい。でも自宅に戻ると家族に迷惑をかけるから無理だよね・・・。
どのような方が対象か
主に「ご自宅での療養をお希望される方」「入院や通院が困難な方」「日常生活に医療サポートが必要な方」が対象になります。
(年齢は子供から高齢者まですべての年代が対象です。)
例えば、
- 足腰が不自由になり一人での外出、通院が困難になった
- 心臓や呼吸器の病気で少し動くだけで息切れがするため通院が困難
- がんによる痛みや体力低下によって通院ができなくなった
- 病院からの退院後、自宅での療養が必要になった
- 排尿や排泄の医療的管理が必要になった
- 神経や筋肉などの難病で人工呼吸器や自宅での医療処置が必要
- 難病などで急変の可能性が高い方
- 認知症により、在宅でのケアや医療が必要
- 入院が苦痛で家に帰りたい
- 最期は住み慣れた自宅での看取りを希望している
など様々です。
主な症状
主に以下のような症状をお持ちの患者さんが多い傾向にあります。
- 悪性腫瘍(癌)
- 脳血管障害後遺症、多発性脳梗塞・脳血管性認知症
- アルツハイマー病およびその他の認知症
- 老人性運動器疾患(骨粗鬆症、圧迫骨折、変形性関節症、大腿頸部骨折)
- 関節リウマチ
- 神経難病
- 高血圧
- 肺疾患
- 精神疾患
- がん末期
- 慢性呼吸不全
- 慢性心不全
- 慢性腎不全など
- 合併症を伴った糖尿病
- 褥瘡(じょくそう)
- 老衰 など
在宅医療でできること
- 緩和ケア(疼痛管理等)
- 呼吸管理(在宅酸素・人工呼吸器・気管切開カニューレ)
- 栄養管理(胃ろう・経鼻経管栄養・中心静脈栄養)
- 尿管理(膀胱留置カテーテル)
- 薬の処方や注射・点滴
- 検査(採血・尿検査・超音波・心電図など)
- 認知症の方へのケア
- 褥瘡(床ずれ)などの処置 など
訪問範囲
訪問診療が行えるのは、施設から半径16km圏内と決まっています。
熊本市中央区・東区全域・北区・西区・南区の一部上益城・嘉島町・御船の一部地域 など
費用
訪問診療の医療費は月2回訪問の場合は、自己負担額が1割負担の方で月4,000円~6,000円程度になります。
その他、必要に応じ行う検査代などは、別途ご負担いただきます。(外来受診時とほぼ同じ点数制度です)
また、院外処方のためお薬代が別途必要です。
お問い合わせ:096-285-6014
申込方法
ご自宅で療養したいと思っても不安や疑問があると思いますので、まずはお気軽にお電話ください。
お話を聞きして疑問などにお答えした上で訪問診療をご検討いただきます。
在宅医療Q&A
急に症状が悪化しても大丈夫?
緊急の場合には夜間・休日を問わず対応いたします。
また、万が一入院が必要となった場合や入院をご希望の場合は地域の病院と連携して入院をサポートしますのでご安心ください。